狐(創作者:小松英夫さん)
皆さん、こんにちは。
折り紙へ続く道へようこそ。
今回は、私の大好きな作品をご紹介いたします。
これです!
狐(創作者:小松英夫さん)
↑キツネと読みます(念のため・・・)
では、私なりの視点でこの作品の魅力を語ります。
1.デザインの説得力
魅力的な完成形です。
誰が見ても狐(キツネ)に見える素晴らしいデザインです。
しかし、この作品の写実性は決して高くありません。
写実性とは・・・
本物を忠実に再現することです。
この作品は、体が長く、手足が短いです。
体のパーツだけで言えば「イタチ」です。
それでも狐であることを主張するデザインの秘密は何なのでしょうか?
以下の3点が「狐らしさ」を強くしているのだと思います。
・シンプルに狐の特徴を捉えている頭部
・曲線的な体のライン
・尾の長さと形状
皆さんは、どう思いますか?
次に折り工程の楽しさと合わせて各部の魅力を語ります。
2.頭部
この作品の「頭部」のパーツは「3つの三角形」(顔、耳、耳)で構成されています。
ビックリするくらいシンプルです。
シンプルな構造で狐に見えるのであれば、無駄に情報量を増やす必要はないのだと、この作品から学びました。
<折り紙以外の視点から考えてみましょう>
「マジック(手品)」の世界でも同じようなことが言われています。
「客の目に見える現象が同じならば、技法はシンプルな方が良い」
技法とは、不思議を起こす秘密の動作のことです。
マニアの中には「難易度の高い技法=優れたマジック」だと勘違いしてしまう方がいるようです。
<話を折り紙に戻します>
皆さん、次のような経験はありませんか?
「苦労して作った折り紙作品を知人に見せた時、反応が薄くてショックだった????」
折り紙作品を見る人が「オリガミスト」でない場合は、作品の内部構造や難易度は評価基準には含まれません。
「見た目」が全てです。
技法は、形を表現する手段でしかありません。
難易度に負けて「折り」が汚くなれば、作品の評価は大幅に下がってしまいます。
「ここは難しいからしょうがないよね~~~」
「この難し作品を最後まで折ったんだね、すごぉ~~~い」
こんなことを言ってくれるのは「オリガミスト」だけです。
この作品「狐」の頭部は
「リアルさ」+「シンプルな構造」を実現している点が素晴らしいと思います。
3.楽しい折り工程の数々
1)下半身を折り出す工程
前半に下半身の基本的な領域を折り出す工程があります。
①変則的に開いてつぶす。
②一旦もどす
③①でつけた線を利用してまとめ直す
パズル的な感覚でとても楽しい工程です。
2)上半身を作る工程
中盤の工程です。
回転させるような感覚で折ります。
初めてチャレンジしたと時の感想は
「え?折り紙がこんな動きをするなんて信じられない」(゚Д゚;)
この工程もクセになります。
3)後ろ脚を細く折る工程
小松作品=明快な折り工程
と言っても過言ではありません。
しかし、この工程だけは「なんとなく」の要素があります。
初心者だった頃の私を悩ませた工程です。
しかし、できるようになった時の快感は
\(^o^)/ ←こんな感じです。
4)「尾」と「後ろ脚」を分離させる工程
不思議です。
ハマります。
初心者の頃は、ズレが生じることが多かった工程です。
不慣れな間は18㎝とか24㎝など大きめの紙でチャレンジすると分かりやすいと思います。
5)仕上げ
小松作品=基本形=完成形
仕上げ不要な印象が強いと思います。
しかしこの作品
①顔に表情をつける
②体のラインを曲線的に加工する
上記2点の「サジ加減」が見栄えに大きく影響します。
最終工程に「小松作品」にはあまり見られない「魅力的な難しさ」があります。
4.まとめ
いかがでしたか?
まだ、この作品を折ったことがない方へ
オススメです。
ぜひ、チャレンジしてみてください。
この作品を折ったことがある方へ
共感できる部分があれば幸いです。
デザインが素晴らしく、折っていて楽しい作品です。
特に折り工程には「驚き(意外性)」の要素がたくさんあります。
「楽しさ」を感じる一つの要素として「意外性」が強く影響することは、学術的にも言われていることです。
このことについては、いつの日か「別の記事」で触れてみたいと思います。
<作品情報>
作品目 狐
創作者 小松英夫さん
折り方 不切正方形一枚
出 典 小松英夫作品集
発行所 おりがみはうす
折り手 山口智之
用 紙 タント(15㎝)
今回はここまで
最後まで読んでくれてありがとうございました。
(@^^)/~~~